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静かな世界観を訪ねて ②

2026.6.22

取材協力/サンハオ製作所

取材協力/サンハオ製作所

暮らしの中で長く使い続けたくなるものには、つくり手の時間や感覚が宿っているように感じます。
大量生産される便利なものではなく、誰かの手を通して生まれたものだからこそ宿る、確かな温度。素材と誠実に向き合い、少しずつ形にしていく穏やかな時間が、そこには流れています。
手間を惜しまず、人の手で生み出されるものには、不思議と人の心を惹きつける魅力があるものです。
静かな住宅街にある小さなアトリエから、確かな手仕事で作品を生み出す三好さんの世界を、そっと覗いてみました。

小さなアトリエから生まれるもの

静かな住宅街の一角に、その小さなアトリエはあります。そこには金属を叩く心地よい音と、ものづくりに没頭する静かな時間が流れていました。

店主・三好さんが「サンハオ製作所」という名を掲げたのは、6〜7年前のこと。イベント出店をきっかけに屋号を考えたことを機に、本格的な制作活動が始まりました。

屋号の「サンハオ」は、三好さんの姓から名付けられたもの。そこに、勤務先でもある「製作所」という言葉を重ねています。あえて横文字にはせず、カタカナと漢字を組み合わせたのには、少し曖昧な面白さを表現したいという想いがありました。個人なのか、組織なのか、あるいは何をつくっている場所なのか。屋号からそんな想像が広がるのも、この名前の魅力のひとつです。

三好さんが扱う素材は、真鍮、洋白、アルミ、鉄、銅など金属全般にわたります。それぞれに異なる特性や表情があり、時間とともに色味が変化していくのも金属ならではの魅力だといいます。使い込むほどに味わいが増していくその姿には、既製品にはない、特別な愛着が宿っています。

誰かの日常を豊かにするために

「日常に小さな幸せを」。サンハオ製作所のものづくりには、そんなテーマがあります。手がけるのは、カトラリーやアクセサリーから、表札や店舗看板、家具に至るまで多岐にわたります。人の手によって生み出されたものには、その人らしさや背景が自然と滲み出るもの。効率だけでは測れないその魅力を、三好さん自身も大切にしています。

とはいえ、作品に「自分の色」を強く押し出したいわけではないといいます。「使う人が喜んでくれることが一番」。依頼者との対話を通じて、まだ形になっていないイメージを少しずつ丁寧に探っていきます。完成図面通りにつくるのではなく、依頼者と一緒に着地点を見つけていくような感覚だそうです。

だからこそ、出来上がった瞬間だけでなく、数年後に「やっぱりこれで良かった」と思えることもあります。修復や作り替えの相談を受けながら、使う人と長く関係性が続いていくことも、この仕事の大きなやりがいのひとつだそうです。

アトリエは、この仕事を始めるずっと前に建てたものです。当初は、好きな古道具を並べるための空間でした。制作を始めてから少しずつ道具が増え、今では少し手狭に感じるほどです。仕事を終えてここへ籠り、音楽を流しながら手を動かす。休日には珈琲を飲みながら、風の音を感じて過ごすこともあるそうです。

ゆっくりと時間をかけて、誰かの日常へ向けてつくられるもの。その背景にある時間までをも含めて、サンハオ製作所の世界観なのかもしれません。


サンハオ 製 作 所

福山市駅家町
インスタグラムより
@sanhao.seisakusyo

この企画は、キタマチDiaryに掲載されています。
紙のページをめくりながら、じっくり味わってみませんか。