特集記事 Topics
神辺遺産をめぐろう vol.01
2026.3.6
取材協力/天寶一
2025.December/January
45号 巻頭特集
取材協力/天寶一
ノスタルジックな神辺散歩
神辺遺産まるでひとつの物語を歩くように、
刻まれた記憶をたどりながら
神辺の「遺産」を巡りませんか。

受け継がれる記憶、残したい風景
第3回 神辺遺産認定/天寶一
1910年(明治43年)創業。
今では福山市で唯一残る酒蔵としての重みを映すように、蔵の空気には深みある風合いが漂います。天寶一が大切にしているのは「柔らかな酸味」と「米の旨み」。
料理の“名脇役”をめざし、食事に寄り添うキレの良さを追求しています。特に印象的なのが、地下200メートルから汲み上げる“古代水”。超軟水がもたらすやわらかな口当たりと丁寧な絞りによる余韻の長さは、まさに天寶一ならでは。長い歴史と技が重なり合い、その一杯には蔵が歩んできた物語が静かに息づいています。
取材協力/天寶一
福山市神辺町川北660
084-962-0033

時を旅するカフェ ―遺産巡りのひと息に―
第1回神辺遺産認定/カフェあんじんCafé anjin
かつて備後の中心として栄え、今も歴史の気配が息づく神辺町。その町並みに静かに寄り添う「旧菅波邸」は、約220年の時を刻んできた庄屋屋敷です。煤竹が走る天井、大きく渡された梁—。積み重ねられた時間が、そのまま物語として宿っています。
「この場所を未来へ残したい」。そんな一人の想いから、長く空いていた屋敷に再び灯がともりました。店主・藤近さんが古民家再生の難題と向き合い、丁寧に手を入れて生まれ変わったのが「Café anjin(あんじん)」です。細部に宿る手仕事の温度は、ここに注がれた情熱そのもの。暖簾の朱い梅は、かつて屋敷を守った「梅子さん」への敬意と、庭の梅の木との縁を重ねた象徴です。
神辺町には、まだ知られていない魅力が多く残っています。歴史ある町家の軒先、石畳に映る影、静かな路地—。歩くたびに、時代を超えた物語が目の前に広がります。旧菅波邸を訪れ、「Café anjin」でひと息つけば、江戸時代の宿場町としての賑わいを想像しながら、まちの息づかいを感じることができるでしょう。
歴史の重みと、そこに暮らした人々の想い、そして今を生きる人たちの情熱—。それらが静かに交差する空間で、時の流れとまちの物語に耳を傾けながら、ゆったりとしたひとときをお楽しみください。
取材協力/Café anjin
神辺町川南3199
9:30〜18:00
084-966-3130
定休日:水曜日・第2・4木曜日
金・土のみ19:00〜22:30夜カフェもあり

人の手がつくる静寂の風景
第1回神辺遺産認定/天別豊姫神社
1335年頃、神辺城を築く際に、神辺の象徴である黄葉山の中腹へと移された「天別豊姫神社」。地元では古くから「天別さん」の名で親しまれています。鳥居をくぐれば、外の喧騒が遠のき、静けさに満ちた境内が広がります。左手には神池があり、中央の島には二社の境内社が祀られています。
黄葉山の豊かな森を背に、清らかな空気が流れる心地よい場所で、愛らしい狛犬やお狐さんの表情にふと心が和むひとときもここならでは。季節ごとに姿を変える山の彩りが、訪れる人をやさしく迎えてくれます。
取材協力/天別豊姫神社
福山市神辺町川北142−2
084-962-2027
vol.2へつづく。
【巡り方のポイント】
神辺遺産が点在する、神辺駅周辺のこのエリアは、徒歩で気軽に巡れるコンパクトなまち。通りや建物のあちこちに昔の面影が見つかります。途中には立ち寄れるカフェもあり、ひと息つきながら楽しめるのが魅力。カメラ片手に、のんびり自分のペースで歩くのがおすすめです。
-監修-
神辺学区まちづくり推進委員会
神辺宿文化研究会
福山大学建築学科/備後地域遺産研究会
-撮影協力-
モデル 梅木彩未(福山大学 建築学科)